赤ちゃんが生まれると、上の子が不安定になる。
これはほぼ確実な反応です。
コーラを飲んだらげっぷが出るくらいです。
私は男性保育士として多くの家庭を見てきましたし、
自分自身も長男のあとに双子が生まれた父親です。
だからこそ分かるのは、
「兄・姉になったからといって、上の子の甘えたい気持ちは消えない」という当たり前の事実です。
この記事では、上の子が荒れたり泣きやすくなったりする理由、そして家庭でできる実践的な関わり方をまとめました。
上の子は「取り分が減った」と本能的に感じている
大人で例えるとショックの大きさが分かる
我が家は長男のあとに双子が誕生しました。いきなり両親のエネルギーが三分割されるわけです。
上の子の立場からすれば、「自分に向けられていた愛情が半分・三分の一になった」と感じても不思議ではありません。
これを大人に置き換えると、分かりやすくなります。
給料が突然三分の一になったらどうでしょうか。
理由もなく、誰のせいでもなく、一方的に。
困るし、不安だし、イライラもします。
それとまったく同じことが上の子の心の中で起きています。
元気に見えても、心の中までは分かりません。
まずは「上の子もしんどい」という前提に立ってあげてください。
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」は禁句
「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」
これは、上の子の甘えたい気持ちを真っ向から否定する言葉です。
子どもにとっては「あなたの感情は受け付けません」という拒絶になります。
大人の価値観(“上の立場が我慢するべき”)をそのまま幼児に持ち込むのは危険です。
幼児期の土台は、
「無条件に受け入れてもらった経験」=人を信じる力
だからこそ「気持ちを受け入れてもらう」体験が死ぬほど大事。
まずは気持ちを代弁し、共感する。
それだけで子どもの荒れ方は全く違います。
家庭を守るために“上の子優先”という発想が必要
赤ちゃんが泣いていると、どうしてもそちらに気持ちが引っ張られます。
ですが、長期的に見れば、
「上の子の感情ケアが破綻すると、家庭全体が崩れる」
という現実があります。
上の子が荒れ始めると以下が一気に起こります。
- 赤ちゃんに意地悪をする
- 親に反抗して手がつけられない
- 登園・帰宅後に大荒れ
- 家でも外でも情緒不安定
これを後から立て直すのは、本当に大変です。
だからこそ、
赤ちゃんが少し泣いても、上の子のケアを優先する時間を作る。
短期的には大変でも、結局それが家族全体を守ります。
協力関係を作るには「順序」がある
「上の子に赤ちゃんのお世話を手伝ってもらうといい」
これは正しいのですが、タイミングを間違えると失敗します。
『自分の気持ちは満たされてないのに、お手伝いばかりさせられる』
こうなると協力ではなく「強制」です。
だから順番はこう。
- 上の子の気持ちをまず受け止める
- 落ち着いてきたら、できた行動をその場で承認
- “手伝いたい気持ち”が出たときに小さな役割だけお願いする
できたかどうかより、「やろうとしてくれた気持ち」を評価する。
このステップを踏めば、上の子との関係はゆっくり安定していきます。
感情があふれる上の子に「理屈」を求めない
「赤ちゃんじゃないんだから泣かないの!」
忙しいとつい出てしまう言葉です。でも、
本当に悲しいとき、大人だって理由を言語化できません。
不幸・失敗・怪我…そんな時に、
「感情抜きで説明して」
と言われたら、もう話したくなくなりますよね。
上の子も全く同じです。
ストレスを上の子にぶつけない——
これだけで家庭の空気はずいぶん変わります。
園でも変化はすぐに出る|だからこそ早期ケアが大切
上の子が荒れていると、保育園でもすぐ分かります。
「あれ、いつもと違う」
「最近すごく不安定だな」
中には園では頑張り、家で一気に崩れる子もいます。
残念ながら、赤ちゃんに夢中で上の子をほとんどケアしない家庭も存在します。
「新しく来たペットに夢中で、先住犬を放置する飼い主みたい…」
保育士としてそう思ったことも正直あります。
上の子だって、兄・姉になろうと必死に頑張っています。
でも現実の感情はシンプルではありません。
さみしい・不安・苛立ち・甘えたい。
それらが混ざるのは当然です。
親御さんもいっぱいいっぱいのなか、できる範囲で最善を目指してください。
うまくいかない日があっても自分を責めないでほしい。
育児は心をこめても結果がすぐ出るとは限りません。
でも、根気強い積み重ねは必ず子どもの心に届きます。
上の子のケアのためにも、ママが倒れないためにも、パパのフォローは本当に大事です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。






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