夫が育児に加わる必要ある?
産後の妻の変化を、男性保育士がやさしく解説します
赤ちゃんが生まれると、夫婦の空気がガラッと変わることがあります。
「なんか前より冷たくなった気がする…」
「手伝っても喜ばれない!」
「全部怒られてしまう…!」
※参考データ
東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長
渥美由喜(あつみ なおき)氏による「夫婦の愛情曲線の変遷」より。
こうした悩み、父になったばかりの男性には割と多いんです。
でも、これは嫌われたわけではありません。
産後の女性は、ホルモンや生活の変化で、普段とはまったく違う世界に立っている。
まずは、その世界の仕組みからお話しします。
■ 妻は“やる気がない”んじゃなくて、本当に限界ギリギリ
産後すぐは、見た目が元気でも身体の中はボロボロの状態が続きます。
回復には 6〜8週間 かかると言われています。(個人的にはもっとかかると思います。)
さらに、
- ホルモンの急激な変化
- 眠れない日が続く
- 授乳と抱っこのループ
- 常に泣き声が響く生活
これらが一気に重なります。
もう、ずっと荒波に立っているような状態です。
この状況で夫が
「手伝おうか?」「やる?」
と優しく声をかけても、妻の脳はすでにキャパオーバー。
冷たく見えるのは、余裕が一滴も残っていないだけ。
■ 愛情が下がったように見えるのは“気持ちが離れた”からではない
データでも、産後に妻の夫への好感度が一時的に下がると出ています。
でもこの落差は、夫への評価そのものではありません。
負荷と責任が妻側に集中しすぎて、
夫の行動が「助け」か「負担」かのどちらかに見えてしまう。
だから、ちょっとした言葉や行動が大きく感じられてしまう。
夫婦関係が悪くなったわけではなく、
ただ妻の体力・心の余裕がゼロに近いだけです。
■ 保育現場で聞く“妻たちの本音”
- 夫は悪い人じゃない
- でも、状況をあまりわかってもらえない
- ほんの少し察して動いてくれたら嬉しい
- 伝わらなくて自分も苦しくなる
誰が悪いわけでもなくて、気持ちのズレがすべてなんです。
保育士として何百人もの家庭を見てきましたが、
夫婦問題は「翻訳」がもっと必要なんです。
■ 今日からできる3つのシンプルなアクション
① 「30秒の共感」だけで十分
むずかしい言葉はいりません。
「今日も大変だったよね。ありがとう。助かってるよ」
このような一言を心がけると、妻の心はスッと落ち着きます。
② 家事を“自分の担当”として動く
手伝う=妻の許可が必要な他人事。
やる=あなたの主体的な行動。
この違いは本当に大きいです。
あなたが“担当者”になると、妻の負担は一気に軽くなります。
③ 「産後はまだ回復途中」と知っておく
妻が「もう大丈夫」と言うのは、本当に回復したからではなく、
必要だからそう言っているだけのことが多いです。
体力も心も、時間とサポートでしか戻りません。
あなたの気遣いが、回復のスピードを上げます。
■ 最後に
産後の時期は、確かに夫婦にとって試練です。
でも、ちゃんと乗り越えられます。
家族を守りながら葛藤してきた父。
あなたの経験は、同じように悩む誰かの背中を押します。
父性は、これからいくらでも育ちます。
ゆっくりでいいので、一緒に積み上げていきましょう。
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