「保育園にも防犯カメラって必要なのかな…?」
「付けるなら、どこに設置すると一番効果的なんだろう?」
保育歴18年の男性保育士である私が、実際の保育現場で防犯カメラが不審者対策にどう役立っているのかを、具体例をまじえて解説します。
この記事では、保育園・こども園・幼稚園で防犯カメラが必要とされる理由と、不審者対策として有効な設置場所の考え方をまとめました。園の安全対策を見直すときの材料にしていただければ嬉しいです。
保育園で防犯カメラが求められる3つの理由
防犯カメラを設置する意味は3つだけ
今の保育現場では、「何かあったのに、映像が残っていない」ことのほうが怖い時代になりました。保護者からの信頼・万が一のトラブル・不審者の侵入などを考えると、防犯カメラはもはや「あったら安心」ではなく、「ないと不安」に近い立ち位置です。

① 抑止・予防(不審者・犯罪・内部不祥事のハードルを上げる)
② 危険察知・即時対応(不審者・事故・トラブルの早期発見)
③ 事後の検証・証拠提出(警察への提供・再発防止の検証)
なかでも③「事後の検証・証拠提出」は、現場では意外と見落とされがちなポイントです。
ここからは、とくに③に関わるケースを、「不審な形跡が見つかったとき」と「職員在園中に事件が起きたとき」の2つに分けて紹介します。
例① 園の敷地内に「不審な形跡」があった場合
このケースは、防犯カメラの映像をあとから確認し、「怪しい人物や車両が映っていないか」を調べるパターンです。
朝、出勤してみると…
・園庭の遊具や物置が荒らされている
・園の備品が盗まれている
・園庭や駐車場に、見覚えのないタイヤ痕が残っている
そんな状況に気付いたら、正直「えっ!?」となりますよね。
そのときにまず確認したいのが、防犯カメラの録画です。
・不審な人影が映っていないか
・見覚えのない車が出入りしていないか
・侵入経路になりそうな場所が映っていないか
夜間や日曜など、園に誰もいない時間帯の映像に、侵入の瞬間が残っていることも少なくありません。
また、近隣でのトラブルや犯罪と時間帯が重なっている場合、
目撃情報をもとに警察が園の防犯カメラ映像を確認しに来ることもあります。
その際、さまざまな角度から園内外を映しているカメラがあるほど、手掛かりは見つかりやすくなります。
園内だけでなく、園庭や駐車場を映していたことで、隣接する家や施設で起きたトラブルの一部始終が映っていて役立つ、という可能性も十分に考えられます。
カメラは「障害物が少なく、できるだけ広い範囲を見渡せる場所」に設置するのが基本
園舎内だけでなく、駐車場・通用口・フェンス沿いなど、人目が少なくなりやすい場所も撮影範囲に入れる
例② 職員がいる時間帯に事件が起きた場合
次は、防犯カメラの映像を「提出用の証拠」として確認するケースです。
園内に不審者・変質者・暴力的な来園者が侵入した場合がこれにあたります。
結論からお伝えすると、できる範囲で意識しておきたいポイントはひとつです。
トラブルになりそうなら、「できるだけ防犯カメラに映る場所」で対応する。
もちろん、最優先は子どもと職員の安全の確保です。
「緊急時にそんな余裕ないよ…」と思った方もいると思いますので、あくまで「可能であれば」頭の片隅に置いておく程度で構いません。
それでも、この対応を意識しておきたい理由は次の2つです。
モニターを見ている人が、異変に気付きやすくなる
後から映像を警察に提出でき、事情聴取や捜査がスムーズに進む
事情聴取で状況を説明するとき、人はどうしてもパニックや緊張で記憶があいまいになりがちです。
たとえば、
「あのときのやりとりは、3分くらいだったと思います」
「揉み合いになりそうでしたが、相手の体には触れていません」
といった証言をしたとします。
ところが映像を確認してみると、
・実際には1分も経っていなかった
・「触れていないつもり」が、カメラではしっかり腕をつかんでいるように見える
ということは、決して珍しくありません。
本人としては「冷静に思い出して、できるだけ正確に話したつもり」でも、
人の記憶は状況によって、少しずつズレてしまうものだからです。
だからこそ、客観的な事実として残る防犯カメラの映像が重要になります。
カメラの台数を増やすことはもちろんですが、「人が出入りしやすい場所」「応対が発生しやすい場所」に優先的に設置しておくと、万が一の際に証拠として役立ちます。
私が勤めている園でも防犯カメラは設置されていますが、まだ死角は多く、
今後の台数や設置位置の見直しが必要だと日々感じています。
「そこに映像が残っている」という事実そのものが、のちのトラブルから園と職員を守る証拠になる。そのイメージを持って、不審者が来た際の応対場所や導線を、あらかじめ検討しておくことが大切です。
攻め込まれそうな場所はどこか?「犯人目線」で見直す
最後に、防犯カメラの位置を考えるうえで有効な考え方をひとつ紹介します。
「犯人の気持ちになって、園を見直してみる」という方法です。
自分がこの園に忍び込む不審者だったら、どこから入るか?
具体的には、こんなポイントを洗い出してみてください。
・鍵が掛かっていない・掛け忘れが起きやすい出入口はどこか
・乗り越えやすそうなフェンスや塀はどこか
・植え込みや物置などで、外から死角になっている場所はないか
・人通りが少なく、夜間に真っ暗になるエリアはどこか
毎日働いている園だからこそ、職員のみなさんは敷地内の地形や動線をよく知っています。
その知識を活かして、「ここから侵入されたら嫌だな」というルートをあえて想像してみることが、防犯対策の第一歩になります。
都市部のように出入口が限られている園もあれば、郊外で敷地が広く、
フェンス沿いや裏口など「穴」になりやすい場所が増える園もあります。
そのうえで、
・防犯カメラの死角がどれくらいあるのか
・本当に守りたい場所(玄関・園庭・駐車場など)が映っているか
を職員同士で確認していくと、「仮想の敵を具体的に想定した防犯計画」が立てやすくなります。
私の勤めている園のカメラは、一定期間なにもなければ、録画データは新しい映像に上書き保存される仕組みです。
多くの園でも同じようなシステムを採用しているのではないでしょうか。
園の立地や建物の構造、防犯リスクは一つひとつ違います。
ぜひ園内の職員同士で話し合いながら、
防犯カメラの「設置場所」と「映っていてほしい場面」を意識したうえで、今後の対策を検討してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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