【男性保育士に育ってほしい10の姿】現役プロが女性社会のリアルを語る

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女性社会で悩む男性保育士・保育教諭に向けて育ってほしい10の姿を現役プロが解説する記事のアイキャッチ画像 男性保育士のリアルと働き方

保育の現場はいまも圧倒的な「女性社会」です。園によっては、男性保育者が自分ひとりだけということも珍しくありません。

「これだから男は…」「男性がいるとやりづらい」──そんな言葉が飛んでくることもあります。

せっかく保育の仕事についたのに、次のような悩みを抱えている男性も少なくないのではないでしょうか。

  • 理解者がいなくて、もう辞めてしまおうかと悩んでいる
  • 女性ばかりの職場で、ちゃんと認めてもらえるのか不安になる
  • 一生懸命やっているのに、誤解されてしまう
  • 保護者や同僚とうまく関係を築けず、孤立しそうになる

私自身も、そんな葛藤のなかを歩いてきた一人です。

私は認定こども園で働く保育教諭(保育士・幼稚園教諭)です。女性社会の中で18年以上、男性として現場を歩いてきました。

この記事では、幼児期の「育ってほしい10の姿」になぞらえて、「男性保育士(保育者)に育ってほしい10の姿」をまとめました。
これから保育の道を目指す方、いま現場で踏ん張っている方のどちらにも届くように、できるだけ具体的に書いていきます。

男性保育士に育ってほしい10の姿

ここから紹介する10の姿は、特別な才能ではありません。少しずつ意識して積み重ねていけば、誰でも身につけることができます。

1.強靭な心と体(健康な心と体)

私は認定こども園で働く保育教諭(保育士・幼稚園教諭)です。女性社会の中で18年以上、男性として現場を歩いてきました──。

まずは、男性保育士の「わかりやすい強み」から。フィジカルの強さは、やはり現場で大きな武器になります。

■ 男性保育士のフィジカルが特に活きる場面

  • 全力鬼ごっこや担ぎ上げ遊びなど、ダイナミックなあそびを安全に支えるとき
  • 行事準備や環境整備で、重い備品や大型遊具を動かすとき
  • 不審者対応や園外活動など、いざという時の「抑止力」として前に出るとき

どれもイメージしやすい場面ですが、実際にやろうとすると奥が深いテーマでもあります。力任せに子どもを振り回せば怪我につながりますし、自分の腰や肩を痛めてしまうこともあります。

大切なのは、「強さ=守るための余力」と捉えることです。普段からトレーニングやストレッチで身体を整え、睡眠と食事もできる範囲で整える。そうすることで、「ここぞ」という時に子どもや保護者を守れる状態でいられます。

防犯面での役割については、こちらの記事でより詳しく書いています。


▶ 【保護者と浮気?不倫?】男性保育士が職場で気をつけたい距離感

2.利他主義(自立心)

子ども相手なら、親切にした見返りを求めることはまずありませんよね。ところが、相手が同僚や担任同士となると、心のどこかでこう思ってしまうことがあります。

  • 「なんでいつも自分ばかり動いているんだろう」
  • 「あの人ばかり楽をしていてズルい」

そんな気持ちが積もると、表情や言葉の端々ににじみ出て、職場の空気が重くなってしまいます。

理想はシンプルに、「先に与える人になる(GIVEの精神)」ことです。

もちろん、「何でも自分がやればいい」という話ではありません。
・自分の担当として責任を持つ仕事
・相手に任せた方が成長につながる仕事

を切り分けたうえで、「迷ったら少し多めに差し出してみる」くらいの感覚がちょうどよいのかなと思っています。

私自身も、「いつも助かっているから」「前に○○してもらったから」と女性職員に支えてもらった経験が数えきれないほどあります。だからこそ、男性側も「まず自分から与える」スタンスを持っていたいものです。

3.革新性(協同性)

女性社会の中では、「波風を立てないこと」が優先されやすく、どうしても右へ倣えの空気が強くなります。そこでこそ、男性のフットワークの軽さやエネルギーが活きる場面があります。

例えば、こんな取り組みです。

  • 大型造形あそびや科学実験など、ちょっと冒険的な活動の提案
  • 焚き火・キャンプごっこ・運動あそびなど、アウトドア要素のある保育
  • 他園の事例や書籍を参考にした、新しい行事やプロジェクトの企画

ただし、ここで気をつけたいのが「正論だけで押し切らない」ことです。

組織では、どれだけ根拠があって正しい提案でも、
・安全面の不安
・コストや人手の問題
・「なんとなく大変そう」という感覚

がクリアになっていないと、煙たがられてしまうことがあります。

新しいことに挑戦するときは、

  • 目的をはっきり言葉にする(子どもの育ち/職員の負担軽減など)
  • 安全面とコスト面のリスクを先に洗い出しておく
  • いきなり大規模にやらず、小さく試してから広げる

といった工夫をしながら、周りの意見も取り入れていけると理想的です。
「マイノリティーだからこそ、場をかき回すのではなく、場を少しだけ前へ進める」という感覚が大切だと思います。

4.楽観性“気にしすぎない”意識の芽生え(道徳性・規範意識の芽生え)

職員も保護者も毎年入れ替わり、価値観もさまざまです。どうしても、批判的な声・マウント・理不尽なクレームに出会う場面は避けられません。

真面目な人ほど、それを真正面から受け止めてしまい、メンタルを大きく削られます。私自身、若い頃は胃腸を壊し、ストレスで朝からトイレにこもることもしょっちゅうでした。

そんなとき、先輩の男性保育者に言われた一言が今も残っています。

「全部に当てはまるわけじゃないけど、最後は『気にすんな』の五文字だぞ」

「気にするな」と言われてすぐ割り切れるほど、人間関係は簡単ではありません。それでも、次のような言葉に私は何度も助けられてきました。

  • 弱い人は復讐し、強い人は許し、賢い人は無視する(アインシュタインの言葉とされるもの)
  • 思い悩みすぎず、感謝とともに祈りをささげなさい。そうすれば、人知を超えた平和が心と考えを守ってくれる(聖書の一節を要約)
  • 自分の人生を自分のために生きていないのなら、誰が自分のために生きてくれるだろうか(ユダヤ教の教えを元にしたアドラー心理学の考え方)

すべてを「気にしない」ことはできなくても、「これは真面目に向き合うべき話か?それとも距離を置いていい話か?」と一度立ち止まるクセをつけるだけでも、ずいぶん心がラクになります。

5.女性社会との関わり(社会生活との関わり)

保育の仕事そのものは、男女どちらがやっても変わりません。けれど、「男性である」というだけで、スタート地点が少し違う場面があるのも事実です。

特に、私は次の3つは「男だからこそ、潔くあきらめておいた方がいい」と考えています。

(1)女児のおむつ替えは、園の方針に従う

園や保護者からNGが出ているなら、無理にやる必要はありません。あらかじめ方針が決まっていない場合でも、自分一人の判断で突っ走らないことが大切です。

やるにしても、

  • 必ず保護者・園としての合意をとること
  • 普段から丁寧な関わりと信頼を積み重ねておくこと

この2つがそろっていなければ、のちのトラブルの火種になりかねません。

(2)デリケートゾーンは、一人で確認しない

女児が「ここが痛い」と訴えた時、その場所がデリケートな部分なら、男性一人での確認は絶対に避けるべきです。

  • 女性担任や看護師、役職者に確認を依頼する
  • どうしても立ち会う必要があるなら、必ず複数名で確認する
  • 保護者には「複数の職員で確認した」ことを丁寧に伝える

(3)女性同士の方が話しやすいのは、受け入れる

どれだけ頑張っても、「やっぱり女性同士の方が話しやすい」という場面はあります。そこは潔く認めた方が気持ちがラクになります。

職員同士がコソコソ話していると、「自分の悪口かな?」と不安になることもあるでしょう。でも、「話に入りたいなら、自分から一歩踏み出す」「入らないなら、気にしすぎない」のどちらかを選ぶしかありません。

ただし、子どもの情報や連絡事項が自分にだけ共有されていないような場合は別問題です。そのときは筋道を立てて、相手や上司にきちんと伝えましょう。

女性社会の中での立ち回りについては、こちらの記事でも詳しく書いています。


▶ 【保護者と浮気?不倫?】男性保育士が職場で気をつけたい距離感

6.紳士的思考力の芽生え(思考力の芽生え)

女性社会でやってはいけないことの一つが、「ヒステリックになっている相手を論破しようとする」ことです。

保育の裏側では、どうしても陰口や愚痴、欠席裁判のような会話が飛び交います。若い頃の私は、それを聞くのが本当に苦痛で、「だったら壁にでも話してくれ」と心の中で毒づいていました。

今になって思うのは、それもまた一つのガス抜きの形なのだということです。もちろん、度が過ぎていると思ったときには距離を取ればよいですが、「全部を正してやろう」と力んでしまうと、自分が悪者にされてしまいます。

感情的な場面ほど、男性側は
・声を荒げない
・一度間をおく
・必要なら、自分が折れて終わらせる

くらいの「負けるが勝ち」スタンスを持っていた方が、長い目で見ると信頼を得やすいと感じています。

自分が謝るしかない場面でも、見てくれている人は必ずいます。
短期的な勝ち負けより、「この人は紳士的に振る舞う人だ」という評価を積み上げていきましょう。

7.異性との関わり・女性尊重(自然との関わり・生命尊重)

同僚であっても、相手は一人の女性です。ここを雑に扱ってしまうと、あっという間に信頼を失います。

女性同士がフランクに話しているのと、男性が同じノリで接するのとでは、意味合いがまったく違います。だからこそ、男性側は意識して「紳士的に接する」姿勢を持っていたいところです。

某・大人気海賊漫画に登場する、一流コックのキャラクターをイメージしてみてください。彼は女性を守るためなら命を張るし、普段の言動も徹底してレディーファーストです。

そこまで極端でなくても、次のような意識は大切だと思っています。

  • 高所作業や力仕事を頼まれたら、快く引き受ける
  • 「大丈夫、ここは任せて。レディーたちは下がっていてください」くらいの気持ちで守る
  • 困っていそうなときには、さりげなく「何か手伝えることない?」と声をかける

同時に、男性側が女性に「頼る」ことも大切です。プライドを守るために弱みを見せない人もいますが、それでは本当の意味での信頼関係は育ちません。

自分の苦手分野やわからないことは素直に相談する。その姿勢があるからこそ、「この人の力になろう」と思ってもらえるのだと思います。

8.整理整頓と身だしなみへの関心・感覚(数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚)

整理整頓や掃除が得意でない男性は多いかもしれません。ですが、プロとして現場に立つ以上、「男だから片づけが苦手」は言い訳になりません。

保育や書類に追われていると、どうしても掃除は後回しになりがちです。だからこそ、

  • 「この棚だけは必ずスッキリさせておく」場所を決める
  • 1日の終わりに3分だけ、机の上を片づける
  • 子どもと一緒に「掃除あそび」を取り入れてしまう

といった小さなルールを作ると、無理なく続けやすくなります。

また、身だしなみはそれ以上に重要です。

  • 清潔感のある服装・髪型・爪
  • 汗やタバコのにおいへの配慮
  • 子どもの前での姿勢と表情(写真にも残る)

子どもの写真を撮ったとき、後ろに写り込んだ自分の表情が険しかった…という経験はありませんか?保育者は常に誰かに見られています。不潔さや不機嫌そうな表情で相手を不快にさせてしまうのは、とてももったいないことです。

いつカメラを向けられても良いように、「笑顔と姿勢」を作っておく。
それだけで、子どもにも保護者にも安心感を与えられます。

9.優雅な言葉による伝え合い(言葉による伝え合い)

書類に追われていると、「雑談している時間なんてない」と感じることもあるでしょう。ですが、保育はチームで行う仕事です。コミュニケーションを減らせば減らすほど、ミスやすれ違いは増えていきます。

私も一時期、同じクラスの職員とうまくいかず、挨拶以外はほとんど口をきかないまま1年を過ごしたことがあります。子どもには笑顔で接していても、職員同士は目も合わせない。あの空気の中で保育をするのは、本当に苦しかったです。

子どもたちにとっても、「先生たちが仲良さそうに話しているかどうか」は大きな安心材料になります。

  • まずは丁寧な挨拶から
  • ちょっとした出来事を共有する何気ない会話
  • 冗談も交えた、笑顔のあるやりとり

会話を終えたあとの表情を観察してみてください。
楽しく話し終えた人は、話す前よりも生き生きと子どもに関わっているはずです。
それはそのまま、子どもたちの安心感にもつながります。

女性職員同士が、お菓子を配り合いながら話している光景を目にすることも多いと思います。そこに、さりげなく男性から差し入れをするのも一つのきっかけになります。

「ご機嫌取り」ではなく、「一緒に働く仲間として、少しでも気持ちよく仕事ができたらいいな」という気持ちで差し出せると良いですね。

10.柔らかな接触と表情(豊かな感性と表現)

残念ながら、ニュースなどの影響もあり、「男性=乱暴そうで怖い」というイメージが先行してしまう現実があります。同じ力で叩いても、体の大きな男性の方が「強く叩いているように見える」ことは避けられません。

些細なことでも、「あの先生、ちょっと乱暴じゃない?」という噂はすぐに広がります。一度ネガティブなイメージがついてしまうと、なかなか消えません。

握りこぶしを作らず、深呼吸。肩の力を抜いて保育する。
それだけでも、周りから見える印象はかなり違ってきます。

具体的には、次のような工夫がおすすめです。

  • 子どもの手を引くときは、手首をつかまず、自分の人差し指を握らせる
  • 背中を押して誘導する代わりに、前から手のひらを差し出して招く
  • 声のボリュームを一段階落とし、ゆっくり・はっきり話す
  • イライラしたときほど、意識して口角を上げる

日々のこうした小さな積み重ねが、「あの先生は優しくて安心できる」という評価に直結します。

おわりに──マイノリティーだからこそ、光るものがある

マイノリティーというのは、良くも悪くも目立ちます。信用を積み上げるには時間がかかりますが、失うのは一瞬です。

この仕事において、男女の違いによるスタート地点は確かに違います。
それでも、「気付かないうちにハマりやすい落とし穴がある」と知っておくことで、守れるものがたくさんあります。

ここまで読んでくださったあなたは、きっと「子どもが好き」「保育が好き」という気持ちを持っているはずです。うまくいかないのは、あなたの保育そのものが否定されたからではなく、「その職場との相性」が悪かっただけという場合も多いと感じています。

どうしても今の園が合わないと感じたら、別の園で働くことも立派な選択肢です。視野を広げてみるだけでも、心が少し軽くなるかもしれません。

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「今すぐ転職」ではなくても、情報収集だけしておくのは大きな安心材料になります。


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せっかくなら、「親しみやすく、頼りになって、子どもたちにとってはちょっとヒーローみたいな存在」として活躍したいですよね。

女性だけの職場で人間関係を大切にしながら、保育を一生の仕事にして生きていく。男性保育士にとって、それは決して楽な道ではありません。それでも、同じように悩みながら続けている仲間は全国にたくさんいます。

この記事が、そんな仲間たちへの小さなエールになれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

男性職員がよりよい保育を目指すうえで、こちらの記事も参考になれば嬉しいです。


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